家庭犬のためのしつけインストラクター養成講座
レベル3 『攻撃的な犬と防戦的な犬を理解する』
平成12年1月18日(火)福岡スターレーン 午前10時〜午後5時
<<午前の部>>
ジェントルリーダー
散歩の時に引かない犬にするために使う。リードがたるむとすぐに歩き出すと、犬はリードがゆるむと飼い主が自分についてくると理解する。
引っ張ると止まる。引っ張るときはお座りをさせる。ひかなかったらご褒美を与える。
飛びつく犬
飛びつかなかったらご褒美。飛びついたら無視、又は後ろを向く。
人の前にきたらお座りをする事を教えておく。←これは全てに必要なので必ず教えておく。
ターゲットトレーニング
ある行動を覚えさせるためのトレーニング。これでいわゆる芸を覚えさせることもできる。
例えば、マットトレーニング(決められたマットの上でお座りをする。←玄関にお客さんが来ても吠えたり飛びかかったりしなくなる。)、タッチトレーニング(人の拳に鼻をつける。←応用すると、散歩の時のヒールポジションを教えることができる。)、タッチトレーニング(決められたシールなどに手をのせる。←シールをいろんな場所にはって、そこに手をつけるようになる。)
例)タッチトレーニングの方法
手の拳(ターゲット)に鼻をつけるとご褒美をもらえることを覚える。
1)エサを手に持って(見せて)拳を作り、鼻をタッチ(なめてはいけない)したらすぐにご褒美。(ご褒美を出すときは、ご褒美をもらえる合図になる言葉「そう、いいこ」「グッド」などを言いながら与える。)
2)拳にタッチしたら、今度は別の所からご褒美を出す。(机の上や別の人、ポケットの中)
3)今度は手を動かして1)2)と同様に行う。
4)手に持っていないことを見せてから拳をつくり、1)2)3)と同様に行う。
5)1回目はご褒美をあげない。(言葉も出さないでだまって手をひっこめる。)すぐに同じ事をし2回目はご褒美を与える。(ご褒美を不定期に与えるようにする。)
芸を覚えることは楽しいこと、教えている方も楽しいし、それを見た人も楽しくなる。犬がこわいと思っている人もいるが、こんな楽しい犬もいるんだなっということを教える事も大事。
ターゲットトレーニングを小さい犬で行う場合。
棒の先にマークをつけそれにタッチさせる。(タッチスティックというものがある)、犬をテーブルにのせる、シールやブローチなどをズボンにはりつけだんだんと高い位置に変える、人間がしゃがむなど工夫をする。
ターゲットトレーニングを使ってヒールポジションを教える。
1)犬と向かい合って、ターゲットを後退しながらタッチさせる。(左手で)
2)犬と同じ方向を向いて、ターゲットを前進しながらタッチさせる。(左手で)
3)ヒールポジションに来るようにターゲットを動かして、ついて歩くようトレーニングする。
犬の攻撃性(
AGGRESSION)
問題行動の中で病院を訪れる一番多いケース。(苦情として一番多いのは無駄吠え)
攻撃性は人が被害にあい、その犬も処分されてしまってどちらにとっても悪いこと。
純血種の中には攻撃性、いかく性を強化してきた犬種もあるので、犬を飼う場合は犬に何をさせたいのか考えてから犬を飼うこと。
何もないのに攻撃をする犬はほとんどいない。人が気がついていないだけで、何かの原因・理由がある。でも同じ状況でも攻撃的な犬とそうでない犬がいるのは事実。
攻撃型の犬と防衛型の犬はどちらもかみつき犬になる可能性はある。
服従心と臆病は違う。服従心は上下関係の問題、臆病は性格の問題。臆病で支配的な犬もいる。
支配的な攻撃性
例えば、おもちゃを取ろうとすると唸るので手をひっこめる。これでは相手の支配性を強化してしまう。
犬が飼い主を信用しいる場合はこういうことはおきない。飼い主がおもちゃを取ったら良いことがあると犬に思わせなければならない。
リーダーはけんかをしない。たいてい喧嘩をするのは2、3位のものが威嚇し喧嘩をする。リーダーというのはそれだけ権威があり喧嘩を売られることがない。(それぐらいの飼い主になろう)
なわばり意識はつながれている犬の方が多い。(可動範囲が狭いので領域を認識しやすいという事と、逃げ場所がないため、目の前に敵が現れた場合その敵をどかすしかない。)
集団で犬を飼っている場合に最初にエサを食べるのがα(リーダー)とは限らない。その犬が一番エサに対して支配的であるだけ、たまたまαがエサに対して支配的でないだけかもしれない)
<<午後の部>>
学習された攻撃性
犬が攻撃性を示すことを、かっこいいとか強そうと思い、その行動を奨励すること。
(ピットブルテリアなど)また、噛み付く姿がかわいいので人が喜び強化される。からかわれると攻撃的になったり、遊びで追いかけっこしたりすると攻撃性となる。
トレーニングが荒っぽいとそれに合わせて犬も攻撃的になったりする。
去勢によって減るもの マーキング、マウンティング、放浪癖など。一腹にオス5匹、メス1匹の時などはメスがオスかしてしまう。(子宮の中のテステステロンが高くなる。)
捕食性による攻撃
刺激によって誘発される。
子犬はお互いに物を引っ張りあって上下を決めている。上の物はわざと物を見せびらかしたり、わざと相手に渡してから取り戻したりして優位を示す。
シェーピング(クリッカーを使ったトレーニング)ある行動をさせるためのトレーニング
1)音を鳴らす、すぐにエサをあげる。(音とエサの関連づけを行う。)
2)ある対象(タンス、ドアなど)に視線を合わせたときに音とエサを与える。
3)次は見て頭を対象に近づけると、音とエサ。
タイミングをのがさないこと。間違うとちがった命令になってしまうので。
4)同様にすこしずつ音とエサを与えるための基準の難易度をあげていく。
命令に従わない場合
1命令が聞こえないハイ状態、又は命令を聞いて間違った場合
2命令を無視する
1の場合
無視する。
より行いやすくなるよう手助けをしてあげる。(トレーニングをやさしくする)、白黒をつける(間違えないような状態にする)、成功した場合は最高のご褒美、ストレスの原因を取り除く。
2の場合
負の強化が必要になるかも知れない、リーダーシップを取れるように、白黒をつける(間違えないような状態にする)、飼い主がリーダーであることを犬に理解させる、ご褒美は与えない、ご褒美を与えない合図を出す「あっ」そして手を閉じる(手でふさぐ)などしてご褒美を取れなくする、飼い主はどこかへ行ってしまう又は壁を向いて立つなどして、ご褒美をもらうチャンスを失ったと思わせる→戻ってきてもしばらくは犬を見ない触らないそして飼い主が1人で楽しそうにしている。→そこで犬が命令に従えば最高のご褒美をもらえる。
注意を飼い主に向けさせる、よびもどしの初級訓練
1)おもちゃ(フード)を手に持ち興味を引きつける。
2)おもちゃ等をあごの下に持ってきて、顔を見た瞬間に名前を呼ぶ。
3)おもちゃ等で興味を引かせた後、手を伸ばし届かないようにする。犬が飼い主の顔を見たらおもちゃ等をあげる。(犬がおもちゃ等をもらってよいか、飼い主に聞くことになる)
捕食本能
他の遊びを与える(もっと楽しいことでなければだめ)
両立しない行動をほめる
環境を改善する
◆犬の攻撃性の種類◆
・支配的な攻撃性 犬の大切な物を守るため(αの地位、エサ、テリトリー、飼い主)
・学習による攻撃性
・苦痛による攻撃性
・ホルモンが原因による攻撃性
・捕食本能による攻撃性
・矛先を変えた攻撃性 本来攻撃を行いたいものにできない場合に他の物に対して(他の犬とけんかしている時に手を出して・・・)
・生理的理由からの攻撃性
・突発的な攻撃性 原因不明など
・犬相手の攻撃性
・群集心理的な攻撃性 1匹だと何もしないが。
・恐怖による攻撃性 防衛型の犬におきる。罰を与えてはいけない。人を傷つけるような重要な場合は専門家の助けを必要とする。
◆攻撃行動の矯正道具◆攻撃行動のみでなくその他の問題行動にも使える方法
□健康
□環境
□リーダーシップ
□マネージメント
□少し妥協する
□原因を取り除く
□感覚をにぶらせる(系統的脱感作)
□ご褒美をあげない
□両立しない行動をほめる
□慣れさせる
□関連付けを変える
□マイナスの関連付け
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